2008年07月25日

【取材】花火はどうやって作られるの?「夏編」

情報委員会の突撃レポート!!

と、言うことで始まりました新コーナー!

記念すべき第一回目は、「綾瀬市商工会青年部花火大会」でいつもお世話になっている、創業101年(!)の花火屋さん

「(株)ファイアート神奈川」

さんにお邪魔してきました。


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誰もが知っているけど、誰も詳しくは知らない花火の仕組みや秘密を、ご紹介します。

今回の取材に際しては、(株)ファイアート神奈川の和田専務に対応していただき、丁寧に説明して下さいました。


まずは、気になる花火の玉の中身です!

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花火の玉をパカッと半分に割ると、写真のようになっています。
(これは展示用の模型のため、分りやすく色を塗ってあります)

赤や青い色の小さな玉が、星と呼ばれるものです。
花火が開いた時、一個の星が、光る一本の線になります。
この星が、いっぺんに光ることで、花が開いたような綺麗な花火になるのです。

青い星と、赤い星の大きさが微妙に違うのが分るでしょうか?

星は、大きさによって光る時間が違うのです。
大きな花火を作ろうと、いっぱい小さな星を詰め込んでも、一瞬だけ光って終わってしまいます。
それでは、味気ない花火になってしまいますね。

花火は、花が光っている時間がちょうどよくなるように計算されて作られているのです。


星と星の間に詰められている、黒い火薬が、「割火薬」と呼ばれるものです。
これが爆発することで、星がすごい勢いで周りに飛び散ります。

割火薬はほとんど光らず、注意して見なければ分らないそうです。



さてさて、次にいきましょう。


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さて、これは何の包みでしょうか?


これは、「発射薬」と呼ばれる、花火の玉を空に打ち上げるための火薬です。

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中はこんな感じ。
これを、花火を打ち上げる筒の中にセットし、その上に花火の玉を置きます。
発射薬に点火する事で、その爆発圧で玉が発射され、空高く舞い上がるそうです。
と、同時にその時の爆発圧で、花火の導火線に点火されるそうです。


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1回1回きっちり秤で計量します。

実は発射薬の量は大変重要です。

花火は、打ち上げられてどんどん上昇し、頂点で空中停止した瞬間に爆発するように計算されています。

この発射薬が多すぎると、花火の玉が空中で停止する前に、導火線が燃え尽きてしまい、昇り続けながら花火が咲いてしまうため、丸くない花火が咲いてしまいます。

逆に発射薬が足りない時は、予定よりも早く上昇が終わり、停止し、さらに落ち始めてから花火が咲くため、やはり丸くない花火になってしまうそうです。

導火線の長さと発射薬の量による、絶妙な時間計算が成功して、初めて花火は丸く開くことができるのです。


まさに職人芸、伝統の技術と経験のなせる業です。


では、次の場所に移動しましょう。


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花火屋さんの敷地は広く、建物と建物の間も離れています。
これは、万が一にもどこかの作業場で火薬に引火した場合、他の建物にある火薬にも引火しないように配慮されているからなのだそうです。


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こんな頑丈なコンクリートのブロック塀もあります。
それだけ危険な作業なのだと言うことが、はっきりと分ります。


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さて、これはなんでしょうか?


実はこれは、綾瀬の花火大会でもおなじみの、
「スターマイン」の筒です。


スターマインとは、特別な仕組みの花火のことではなく、花火の打ち方の名前なのだそうです。

特別に中を見せてもらいました。


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中には、発射薬を入れ、


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そして玉を入れます。
スターマインは、1本の筒に2個玉が入っているんですね。


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こうやって、一本一本、スターマインは詰められていきます。

一箱の筒の束が、すべて同じ導火線で繋がっているのが分りますか?
さらに、これを花火の打ち上げ現場に運び、すべて一本の導火線で繋げるそうです。

そして一番端っこに点火!

次々と花火が打ち上げられる、それがスターマインなのだそうです。



さて、ではその点火とは、一体どうやってやるのでしょうか?

私のイメージでは、ドリフのコントみたいに火種を筒の中にポイッってイメージでした。


実は、現代では、これが用いられます。

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回路式の点火装置です。

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点火玉と呼ばれる、小さな爆発装置を、電気的に爆発させて発射薬に引火させるそうです。

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見えますか?
スイッチを押すと、パン!という爆竹のような音がしました。
これで、現代では遠く離れた場所から安全に花火を打ち上げられるのだそうです。


もう一つの点火方法も、紹介してもらいました。
「早打ち」と呼ばれる、昔からある打ち上げ方法です。

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これは、「焼金」と呼ばれる鉄で出来た円盤です。

これを赤熱するまで炎であぶり、真っ赤になったところで、打ち上げ筒の底に置くのだそうです。

そして、初めから発射薬を底に貼り付けておいた花火の玉を、人の手で筒に入れるのだそうです。

すると、筒の底に落ちた玉が焼金の熱に触れた瞬間、発射薬が爆発し、花火が打ちあがるという方法です。


これは、筒が何回でも使えるため、連続で花火が打ち上げられ、自分のタイミングで時間調整も出来、先ほどのスターマインのように前準備の必要も、数多くの筒も必要無い打ち上げ方です。


ですが、玉を入れた手を引っ込めるタイミングを逃せば、大怪我は免れられないという危険な面もあるため、現在では打ち上げられる職人も減ってきた、と花火屋さんはおっしゃってました。


綾瀬の花火大会でも、今は全て点火装置を使ったものに変えられたそうです。



次に行きます。


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これは、仕掛け花火を作っているところです。
仕掛け花火は、文字や絵柄を花火で描く打ち上げ花火とは違った風情のある花火です。

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「ランス」と呼ばれる一分間程度光り続ける花火を、描きたい形に配置して、点火するそうです。

このランスは、緑色の線が付いているので、緑色に光るそうです。

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この様に、すべて一本の線で繋がっています。
この線は「速火線」と呼ばれる導火線で、1秒間で20メートルも炎が走るそうです。

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こんなに沢山の仕掛け花火が準備されていました。


その倉庫で、こんなものを発見しました!

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こ、これは・・・1尺5寸の超大玉を打ち上げる専用の筒ではないですか!!


この筒が使われた様子はこちら(昨年の記事)


「このあたりで、いまやこれを使うのは、綾瀬の花火大会ぐらいですね」


と、和田専務はおっしゃってました。


今年もこれでよろしくお願いします!
筒をパンパンと叩いてきました。


さてさて、場所を移動して、こんなところを発見しました。

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まるで秘密基地か、防空壕。
和田専務いわく、「昔の火薬保管庫」だそうです。

いまは使われていないそうです。


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おそるおそるドキドキしながら下りていくと、中はこんな感じになっていました。

万が一ここに置いてあった大量の火薬が大爆発した時には、横に広がった爆風を上に向けるために、こういう構造になっているのだそうです。



ここで、今回の取材はおしまいです。
それにしても様々な花火の仕組みを見させていただきました。

本当に、知らないことだらけ、驚くことばかりの取材でした。


「今度は冬に来てください。星を作っているところを見せてあげられます」とおっしゃってくれました。

つい、花火は冬にも作られるんですね、なんて間の抜けた事を言ってしまいました。


最後に、和田専務に「花火で一番こだわっていることは何ですか?」と尋ねてみました。

プロのこだわりから、花火の楽しみ方、花火の良し悪しの判断が少しでも出来れば、との思いで質問しました。

色?音?形?

花火のプロからはどんな答えが返ってくるのか、と思っていたら、




「まずは安全ですね」




と。

「なによりも、花火は安全がまず第一です。事故が起きないようにすることが、花火屋としてもっとも大切な事です。」


とおっしゃいました。

そして次には「お客さん」。
その後に「丸さ」と言う答えが返ってきました。

お客さんの反応が、クーラーもなく炎天下で作業しなければいけない花火職人のなによりもの励みになるそうです。

お客さんは毎年同じではいつか飽きてしまう。
その為にも楽しんでもらえる花火を一生懸命作る、ということでした。


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そして、丸さは大切だとおっしゃってました。
もう10数年花火職人をやっているそうですが、まだ、満足し、納得した一発と言うものを打ち上げてはいないそうです。


話は続きます。
江戸時代以前から存在する花火と言うものは、21世紀となった現在でも、まだ進化を続けているのだそうです。

新作の花火が毎年開発されており、今まで限界と思われていた伝統的な技術で作られた花火よりも、さらに星を詰め込んだものや、微妙な色の違いで表現力を増したものなど、どんどん生み出されているそうです。

和田専務は、「これからもより綺麗で新しい、喜ばれるような花火を作っていかなければいけませんね」と、ニッコリと笑っていました。


そして最後に一言、とても印象的な事をおっしゃっていました。



「花火は絵画や美術品と違って、一瞬で消えてしまい形に残りません。ですが見た人の心に残る、それが花火の良い所です。」



毎年私たちがお世話になっている花火屋さんは、今年も私たちの心に感動を残してくれることでしょう。



(株)ファイアート神奈川さん
取材のご協力、ありがとうございました。


posted by 綾瀬市商工会青年部 at 00:02 | Comment(6) | TrackBack(0) | 取材
この記事へのコメント
おお、ここまで詳細に花火のこと知らなかったなあ。でも本当に安全が一番重要だよなー。再認識。
Posted by 福 at 2008年07月25日 07:18
あ、早朝、大厚木に行ったついでに顔出すの忘れてた・・・

オブの仕事もしっかりこなさなきゃ・・・

これからの突撃リポート楽しみにしていますね。
Posted by 紹介者 at 2008年07月25日 07:50
素晴らし記事ですね。
取材とか大変でしょうけど今後もこのような特集を期待しています。
Posted by じーこ at 2008年07月25日 12:36
私も一度見学してみたいですね。

冬の時には行けるといいな〜。
Posted by 大ひ魔神 at 2008年07月25日 18:01
お邪魔しました。
よければ私のブログも覗いてみてくださいね^^
Posted by あち at 2008年07月25日 20:23
すごいですね。
私も見学してみたいです。
Posted by にゃんこ at 2011年08月25日 11:22
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